耳の診療
耳の診療

耳の構造は、耳の穴の外側から鼓膜までの「外耳」、鼓膜の内側でキャッチした音の振動を増幅させる「中耳」、さらに内側で音を脳につなげる「内耳」に分かれています。また中耳から耳管を介して鼻とつながっています。
外耳炎とは、鼓膜より外側の耳の中の皮膚に起こる炎症のことです。不潔な耳かきや指のつめなどで耳の中を傷つけてしまい、そこに細菌が入ることで発症します。
症状は、耳の痛み、かゆみ、ヒリヒリ感、耳だれなどです。ひどく腫れると聞こえが悪くなったり、耳閉感や耳鳴りを伴ったりすることもあります。
治療は患部の処置と、抗菌薬や鎮痛薬の内服などを行います。外耳炎になっている側の耳を上にして寝て、そこに薬液を落とす耳浴(じよく)という治療法もあります。
外耳道にカビ(真菌)が感染して炎症を起こす疾患です。外耳炎と似たような症状(耳の痛み、かゆみ、耳だれ、耳閉感、腫れ)を伴いますが、酒粕や菌糸に似た耳垢がみられることもあります。
治療は、カビの種類を検査で特定した後、外耳道を洗浄し、抗真菌剤の塗布や点耳をします。かゆみが強い場合は、抗アレルギー薬の内服を併用していただき、重症の場合は抗真菌薬を内服していただくこともあります。
鼓膜より内側の中耳で炎症を起こす疾患で、主に小児が風邪をひいた後、鼻の奥から中耳につながる耳管を介して細菌が感染することで起こります。鼻水やのどの痛みなどの症状に続いて、強い耳の痛みや発熱、耳だれ、耳がつまった感じ、聞こえにくさなどが生じます。急性中耳炎の治療では、鼻の治療と細菌を抑える抗生剤の投与でほとんどは完治しますが、痛みが強い場合やなかなか熱が下がらないといった重症のケースでは、速やかに鼓膜を切開して排膿する必要があります。
主に急性中耳炎を繰り返す小さなお子様にみられる疾患で、鼓膜の内側にある空洞(中耳腔)に滲出液などが溜まって耳がつまった感じや難聴が起こります。ご高齢の方にみられることも多く、この場合、耳管機能の老化が主な原因です。急性中耳炎から移行する場合と副鼻腔炎が長引いた場合などに起こりやすくなります。
無症状から難聴まで症状は様々で、幼児では気づかないことも少なくありません。「普通に呼びかけても振り向かない」、「テレビの音が大きい」、「鼻の調子がずっと良くない」といったことがあれば、念のため受診をお勧めします。
鼓膜にあいた穴が閉じずに残ってしまい、中耳の炎症が慢性的に続いている状態を慢性中耳炎といいます。風邪の原因となる微生物が、鼻とつながる耳管から入るだけでなく、鼓膜に穴があいていることで外耳道からも中耳に入り込むようになります。中耳に細菌感染が起こると「耳だれ」の症状が現われます。鼓膜の穴の大きさや中耳の炎症の程度によっては難聴を伴うこともあります。
「耳だれ」がある場合、外耳道や中耳を洗浄し、抗菌薬を中耳に直接入れる処置や内服による治療を行います。状態によって鼓膜閉鎖術が考慮されることもあります。
思い当たる原因もないのに、ある日突然聞こえが悪くなる疾患です。多くは片側の耳で起こります。朝、目覚めたときに気づく難聴の他に、耳鳴り、耳閉感、めまいなどを伴うことがあります。
発症早期よりステロイド剤の内服(あるいは点滴)による治療が行われることが多いですが、循環改善剤やビタミン剤を用いた治療もあります。
突発性難聴は、できるだけ早く治療を開始したほうが聞こえの回復の可能性が高まるとされています。発症から遅くとも2週間以内(できれば1週間以内)に治療を開始することが重要です。
年齢とともに聞こえづらくなる疾患で、聴力検査では両側とも高音部を中心に聴力が低下している特徴があります。老年性と言っても、50歳を過ぎると誰しも難聴が始まります。糖尿病などの生活習慣病がある場合、健康な人に比べて難聴が進行しやすい傾向があります。また、中耳炎の治療を十分に受けてこなかった方や、長年、騒音の下で仕事をされていた方も進行が早いと言われています。いずれにしても、一度悪くなった聴力は元には戻りませんので補聴器が必要になります。
めまいの疾患の中で最も多く、寝返り、起床時、臥床時などで頭の位置や頭を動かすことによって誘発されます。回転性のめまいで数秒から数十秒で治まり、難聴や耳鳴りは伴いません。内耳にある耳石(じせき)の一部がはがれ、それが半規管を浮遊し、頭の動きで移動するためにめまいが生じます。多くの場合、はがれた耳石を元の位置に戻す耳石置換法により改善させることができます。
難聴や耳鳴り、耳の閉塞感など、聴覚症状を伴うめまいを繰り返す疾患です。「目が回って立っていられない」「まわりの景色がぐるぐる回る」といった特徴的な症状が現れ、嘔吐を伴うこともあります。難聴の症状は、めまいの前後に悪化し、めまいが治まるとよくなりますが、発作を繰り返すにつれて悪化していくこともあります。内耳のリンパ液が過剰な状態になることが原因とされており、その誘因として様々なストレスが関係していると考えられています。
鼻と耳の奥は耳管(じかん)と呼ばれる管でつながっています。この耳管は、通常は塞がっていて、飲み込んだり、あくびをしたりするときに開き、耳の中と外の圧力を調整しています。この働きがうまくいかず耳管が開かなかったり、開きすぎたりすると、様々な症状が現われます。
耳管が塞がったままになったり、狭くなったりする疾患で、鼻の奥にある耳管開口部周囲に炎症が起こることが原因と考えられています。鼻の奥の粘膜に赤みや腫れ、鼻汁がみられることがよくあります。耳がつまった感じや、自分の声が響いて聴こえたり、自分の呼吸の音が耳に響いたりします。
耳管が開きすぎる(必要なときにうまく閉鎖しない)疾患です。成人女性に多く、体重減少によって耳管周囲の組織がやせてしまうことや、顎関節症、妊娠、ストレス、末梢循環障害などが原因と考えられています。症状は耳管狭窄症と似ていて、自分の声が響いて聴こえたり、自分の呼吸の音が耳に響いたり、耳がつまった感じがします。
気圧の関係で起こる耳鳴りは、多くの人が経験し、すぐに消える場合は心配ありません。
一方、寝付けないほど気になったり、耳鳴りのために物事に集中できなかったりする場合は、疾患が原因になっていることがあります。外耳・中耳の原因疾患としては、外耳炎、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などがあり、内耳の原因疾患としては、突発性難聴、メニエール病などがあります。
耳垢栓塞は耳の穴(外耳道)に、耳垢が詰まった状態をいい、症状として耳閉感、難聴、耳鳴りなどが起こることがあります。耳鼻科では、顕微鏡下で耳の中を観察しながら、耳垢鉗子や吸引により耳垢を取り除きます。痛みが生じた場合や耳垢が硬くて取れない場合には、点耳薬で耳垢を軟らかくしてから取り除くこともあります。
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